後妻(読み)アトメ

  • うわなり
  • うわなり うは‥
  • うわなり〔うは〕
  • こうさい
  • こうせい
  • ごさい
  • 後=妻
  • 後▽妻

デジタル大辞泉の解説

後添(のちぞ)いの。ごさい。
あとに迎えた妻。上代は前妻または本妻以外の妻をいい、のちには再婚の妻をいう。⇔前妻(こなみ)
「この―こなみ、一日一夜よろづのことを言ひ語らひて」〈大和・一四一〉
ねたみ。嫉妬(しっと)。〈新撰字鏡
妻と死別または離婚した男が、そのあとで結婚した妻。後添(のちぞ)い。こうさい。⇔先妻
ごさい」に同じ。

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大辞林 第三版の解説

あとに迎えた妻。古くは、最初の妻に対して、あとからめとった妻。のちには、死別・離別した妻のあとにめとった妻。ごさい。 ⇔ こなみ -こなみ、一日一夜よろづのことをいひ語らひて/大和 141
嫉妬しつと。特に、前妻こなみの後妻に対するねたみ。 名義抄
ごさい(後妻)に同じ。 -を迎へぬ/未来之夢 逍遥
離婚したり先の妻が死んだりしたあとでめとった妻。のちぞい。こうさい。 ⇔ 先妻

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 のちぞいの妻。ごさい。
[1] 〘名〙
① 後にめとった妻。古くは、初めてえた妻、本妻に対して次の妻をいい、後には死別または離縁した妻のあとに迎えた妻をいう。⇔前妻(こなみ)
※古事記(712)中・歌謡「宇波那理(ウハナリ)が 肴(な)乞はさば 柃(いちさかき)実の多けくを 許多(こきだ)ひゑね」
※光悦本謡曲・鉄輪(1488頃)「捶をふりあげうはなりの、かみを手にからまいて」
② (前妻が後妻を嫉妬するというところから) ねたみ。そねみ。悋気(りんき)。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※俳諧・犬子集(1633)一一「敵よりも猶こはき女房 うはなりのいかり来にける其気色〈由己〉」
③ 人の怨霊(おんりょう)
随筆・松屋筆記(1818‐45頃)八六「人の怨霊をうはなりとは中古よりいふ詞也」
[2] (嫐) 歌舞伎十八番の一つ。初世市川団十郎作。元祿一二年(一六九九)江戸中村座の「一心五界玉」の第三番目で初演。後妻打(うわなりう)ちの風習の劇化。以後男一人に女二人の嫉妬の所作に「嫐」の文字を用いた。
浮世草子・新可笑記(1688)三「一門取持て他国より幸の縁にひかれ、後妻(コウサイ)をもとめられしに」 〔史記‐五帝本紀〕
〘名〙 (「せい」は「妻」の漢音) =ごさい(後妻)
※色葉字類抄(1177‐81)「後妻 コウセイ ウハナリ」
〘名〙 妻と死別もしくは離別した男が、そのあとで結婚した妻。のちぞい。こうさい。〔俚言集覧(1797頃)〕
※新粧之佳人(1886)〈須藤南翠〉一八「男子が後妻(ゴサイ)を迎へるのが道理に適って居る以上は女子も重婚をするのが道理で」

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世界大百科事典内の後妻の言及

【後妻打ち】より

…前妻が親しい女たちをかたらって後妻を襲い,家財などを打ちこわしらんぼうをはたらくこと。うわなりとは,古語で前妻を意味する〈こなみ〉に対する後妻,次妻に相当し,また第二夫人,妾を指すことも多い。…

【妻】より

…幕府は大名の体面上一度は妻を迎えるよう,1763年(宝暦13)6月布達を出しているので,江戸中期にはめとらない大名が存在したようである。一方,江戸時代前半期にはときどきみられるところの後妻を側妾から昇格させることは,1724年(享保9)7月忌服(きぶく)の問題が煩雑になることを理由に制限を加え,ついで33年4月には昇格を禁止した。【上野 秀治】
[妻と嫁]
 妻は嫁とは異なる社会的地位と役割を持つ存在である。…

※「後妻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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