日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィリアムスン」の意味・わかりやすい解説
ウィリアムスン
うぃりあむすん
Jack Williamson
(1908―2006)
アメリカのSF作家。1930年代に勃興(ぼっこう)した娯楽的な宇宙活劇の作家としてE・ハミルトンと双璧(そうへき)をなす存在である。外宇宙から迫る地球の脅威という設定はスペース・オペラに共通するものだが、彼は好んでその脅威を、人間以外の高い知能をもつ異生物や不可思議な生命体として描き、荒唐無稽(こうとうむけい)になりがちな物語を該博な擬似科学的説明によって巧みに処理した。多元宇宙テーマのはしりともいうべき『宇宙軍団』(1934)四部作と『航時軍団』(1938)が代表作。第二次世界大戦中応召されて作家活動を中断したが、戦後SF界に復帰して、人類とロボットとの戦いをテーマにした『ヒューマノイド』(1949)を発表した。短編集には20年代から50年代へかけての作品を収めた『パンドラ効果』がある。
[厚木 淳]
『川口正吉訳『ヒューマノイド』(1965・早川書房)』▽『野田昌宏訳『宇宙軍団』『航時軍団』(ハヤカワ文庫SF)』▽『関口幸男・斎藤伯好訳『パンドラ効果』(ハヤカワ文庫SF)』