日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィルケン」の意味・わかりやすい解説
ウィルケン
うぃるけん
Ulrich Wilcken
(1862―1944)
ドイツの古代史家、パピルス学者。ブレスラウ、ウュルツブルク、ハレ、ライプツィヒ、ボン、ミュンヘン各大学教授を歴任後、1917~31年までベルリン大学教授を務めた。師のモムゼンからパピルス史料の重要性を教えられ、生涯をこの分野の開拓、研究に尽くして、組織的学問としてのパピルス学を創始した。エジプト出土のギリシア語オストラカ(土器片)文書、パピルス文書などの史料集成のほか、1900年からパピルス学の専門研究誌『パピルス研究紀報』Archiv für Papyrusforschung und verwandte Gebieteを刊行し、自らも毎号かならずパピルス情報を執筆した(1953年刊行の遺稿まで)。歴史学での研究分野はフィリッポスおよびアレクサンドロス大王関係を中心とし、多数の論文のほか『アレクサンドロス大王』(1931)の名著がある。
[金澤良樹]