改訂新版 世界大百科事典 「ウサーマブンムンキズ」の意味・わかりやすい解説
ウサーマ・ブン・ムンキズ
Usāma b.Munqidh
生没年:1095-1188
シリアの騎士,文人。ハマー近郊のシャイザル城主であったムンキズ家の出身で,モースルのザンギー朝君主に仕えて十字軍と戦った後,1138年からダマスクスに住んで十字軍騎士と親交を結んだ。44年にファーティマ朝治下のカイロへ移ったが,宮廷の内紛に巻き込まれて10年後にダマスクスへ戻り,62年にはヌール・アッディーンに従ってアンティオキアの攻略戦に参加,ディヤール・バクルでの隠退生活を経て,74年再びダマスクスに戻り,サラーフ・アッディーン(サラディン)に仕えた。アラブ騎士道の達人として知られ,詩や文学にも優れた作品を残した。主著に詩集と《回想録》がある。エルサレム奪回の翌年に没した。
執筆者:佐藤 次高
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報