日本大百科全書(ニッポニカ) 「エコシップ」の意味・わかりやすい解説
エコシップ
えこしっぷ
eco ship
環境負荷の低減を図った船舶。燃費性能を高め、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM:Particulate Matter)、二酸化炭素(CO2)などの排出を抑える技術が盛り込まれている。環境技術に優れた自動車がエコカーとよばれるのに倣った呼称である。
エコシップにはさまざまな省エネ技術が採用されている。たとえば、空気抵抗の低減(船首ボンネット、船型の最適設計)、摩擦抵抗の低減(低摩擦船底塗料、水中の船体を気泡で覆う空気潤滑システム)、プロペラ効率の向上(二重反転プロペラ)、自然エネルギーの利用(風力推進、太陽光発電・蓄電システム)などである。
さらに、国土交通省と造船業界は2001年度(平成13)より、小型ガスタービンによる発電と二重反転式のプロペラを組み合わせた電気推進システムを採用したスーパーエコシップ(SES)の開発に取り組んできた。在来型のディーゼルエンジン船と比較すると、燃料を1~3割程度削減することが可能で、CO2と硫黄酸化物(SOx)を1~3割、NOxで2~4割を削減できる。2012年9月時点で、21隻が就航している。2013年1月には国際海事機関(IMO)の海洋汚染防止条約(マルポール条約)が改正され、船にもCO2の削減が段階的に求められるように規制強化が始まった。
[編集部]