エトノス(その他表記)ethnos

改訂新版 世界大百科事典 「エトノス」の意味・わかりやすい解説

エトノス
ethnos

ギリシア語民族を意味する。民族学用語としては,ロシア系の民族学者S.M.シロコゴロフがはじめて本格的に論じ,ドイツの民族学者ミュールマンW.E.Mühlmann(1904- )などによって,この概念の重要性が明らかにされた。エトノスとは,同一の文化的伝統を共有するとともに,〈われわれ何々族,何々人〉という共属意識をもつ最大の独立した単位集団をいう。したがって,一つのエトノスは場合によっては,バンドでも,氏族でも,部族でも,さらにカーストでもありうる。エトノスは歴史的に形成されたものであり,拡大したり,縮小したり,常に変化していく。このため,エトノスの研究においては民族形成論が重要な分野であり,ことにソ連・ロシアの民族学で研究がさかんである。一つのエトノスは孤立して存在するのでなく,他のエトノスと共存しており,エトノス間の関係がエトノス研究のもう一つの重要分野である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のエトノスの言及

【民族】より

…ギリシア語のエトノスethnos(ドイツ語やロシア語では,ふつうこの語形を用いる),それから派生した英語のethnic groupあるいはethnic unitに対応する学術用語であるが,日常用語としても用いられる。多くの民族学者(文化人類学者)の考えでは,民族とは次のような性格をそなえた集団である。…

【民族】より

…ギリシア語のエトノスethnos(ドイツ語やロシア語では,ふつうこの語形を用いる),それから派生した英語のethnic groupあるいはethnic unitに対応する学術用語であるが,日常用語としても用いられる。多くの民族学者(文化人類学者)の考えでは,民族とは次のような性格をそなえた集団である。…

※「エトノス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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