太良(読み)たら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「太良」の意味・わかりやすい解説

太良(町)
たら

佐賀県最南端有明(ありあけ)海に面する藤津郡(ふじつぐん)にある町。長崎県に接する。1955年(昭和30)多良(たら)町と大浦(おおうら)村が合併して太良町改称。たらの名は、古くは8世紀の『肥前国風土記(ひぜんのくにふどき)』の託羅(たら)郷にみる。町域は、経(きょう)ヶ岳(1076メートル)を頂点に、有明海に向けて裾野(すその)を扇形に広げる多良岳火山群の東斜面にある。山麓(さんろく)の大浦地区では、1962年山崩(やまくず)れ大災害をみた。JR長崎本線と国道207号が山麓の海岸線に通じ、多良、肥前大浦のJR駅がある。山麓斜面で近来ミカン栽培が目だち、畜産も盛ん。また、有明海ではノリや貝類の養殖が盛んで、栽培漁業センターではカニやエビの種苗生産が行われている。潜水タイラギタイラガイ)漁や特産のガザミ(竹崎ガニ)漁なども知られる。竹崎観世音寺修正会鬼祭は国指定重要無形民俗文化財、川原(こうばる)狂言は選択無形民俗文化財。ほかに糸岐獅子浮立(いときししぶりゅう)ほか民俗芸能や年中行事に富み、また多良岳県立自然公園をもつ。面積74.30平方キロメートル、人口8121(2020)。

[川崎 茂]

『『太良町のあゆみの記録』(1975・太良町)』『『太良町誌』上・中・下巻(1994~1995・太良町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「太良」の意味・わかりやすい解説

太良[町] (たら)

佐賀県最南端,藤津郡の町。人口9842(2010)。南は長崎県,北西は鹿島市に接し,東は有明海に面する。西端にある多良岳(996m)を頂点として有明海に向かって扇状に広がった地形をなし,放射状に走る谷に沿って道路,集落水田が開ける。海岸線に沿ってJR長崎本線,国道207号線が走る。農林水産業基幹とし,農業ではミカン栽培を主に米作,畜産が盛ん。漁業ではノリ,貝類の養殖が主力となっている。南端の竹崎漁港は名産の竹崎ガニ,タイラギの水揚げで知られる。行基の開創と伝える竹崎観世音寺には,鎌倉後期造立の石造三重塔のほか多数の石造物があり,毎年1月には鬼祭(裸祭)が行われる。多良岳一帯は県立自然公園に指定されている。
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百科事典マイペディア 「太良」の意味・わかりやすい解説

太良[町]【たら】

佐賀県南部,藤津郡の町。多良岳北斜面を占め,山麓で畑作,ミカン・茶栽培が盛ん。中腹では肉牛の放牧,有明海沿岸ではカキ・ノリ養殖が行われる。長崎本線が通じる。74.30km2。9842人(2010)。

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日本歴史地名大系 「太良」の解説

太良(町史)
たら

一冊 太良町編 昭和五〇年刊

構成 序・古代・中世・近世・近代・現代・産業・教育文化・文化財・伝説・民俗。

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デジタル大辞泉プラス 「太良」の解説

太良

佐賀県藤津郡太良(たら)町にある道の駅。国道207号に沿う。

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