エピ異性(読み)エピいせい

改訂新版 世界大百科事典 「エピ異性」の意味・わかりやすい解説

エピ異性 (エピいせい)

立体異性一種不斉炭素原子を2個以上もつ化合物において,1個の不斉炭素原子の立体配置だけが異なる異性体をたがいにエピマーepimer(エピ異性体)であるという。たとえば,D(+)-グルコースとD(+)-ガラクトースはC4の立体配置のみが異なるエピマーである(図1)。エピ異性はジアステレオ異性の一種である。1890年E.フィッシャーが糖類の化学を研究中に発見した。エピマー間の相互変換をエピ化という。生体内では酵素エピメラーゼによって触媒される。

 また糖類の環状構造において,ヘミアセタールまたはアセタール炭素に関するエピマーをとくにアノマーanomerという。水酸基がアキシアル方向のα-アノマーと,水酸基がエカトリアル方向のβ-アノマーは鎖式構造を経由して平衡にある(図2)。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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