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立体異性 りったいいせいstereoisomerism

翻訳|stereoisomerism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

立体異性
りったいいせい
stereoisomerism

分子内の原子または原子団の三次元配列が異なるために,同一の分子式またはケクレ構造式をもちながら物理的,化学的性質を異にする2つ以上の化合物があるとき,これらの化合物を立体異性体といい,この現象を立体異性という。立体異性には次の3種がある。 (1) 分子の形が不斉であるために,偏光面を回転する性質を異にする場合,これを光学異性という。光学異性体は偏光面回転以外の物理的性質および化学的性質が等しく,生物にかかわる性質を異にする場合が多い。 (→分子不斉 ) (2) 二重結合 (多くの場合,炭素-炭素二重結合) が単結合と違って回転を行うことができないために,分子内の原子の位置が固定されることによって性質の異なった化合物を生じる場合,これを幾何異性という。幾何異性体は光学異性体と異なり,異性現象は,融点,沸点,溶解度,反応速度などの多くの物理的,化学的性質の差として現れるため,光学異性体より早くから構造の決定がなされた。異性体は一般にシス形およびトランス形をとる。炭素-炭素二重結合以外に炭素三員環もまた回転を行うことができないので,立体異性現象を生じる。これにもシス形およびトランス形異性体がある (例としてシクロプロパンジカルボン酸) 。また,六員環のシクロヘキサン誘導体にもシス形,トランス形があり,これも立体異性の一種であるが,狭義には,幾何異性のうちに含まない。 (3) 単結合の回転によって,分子が2種以上の立体配座をとる現象を回転異性という。この場合は異性体間のエネルギー差が小さいために,室温で速い相互変換が行われていて,特別の場合を除いて異性体の存在は物理的測定によってだけ確認され,1つの化合物として単離されていない。回転異性の研究を基として,シクロヘキサンなど環状化合物の立体異性現象が解明され,立体配座に関する研究が発展した。

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デジタル大辞泉の解説

りったい‐いせい【立体異性】

化合物化学組成が同じでも、原子または原子団の立体的な配置が異なるために生ずる異性。幾何異性・光学異性などがある。

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百科事典マイペディアの解説

立体異性【りったいいせい】

同じ平面構造式で表される分子が,原子の立体的配置が相違することにより生じる異性現象。主として幾何異性光学異性をいう。→異性

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栄養・生化学辞典の解説

立体異性

 立体配置が異なるために生じる異性.光学異性,幾何異性,回転異性がある.

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世界大百科事典 第2版の解説

りったいいせい【立体異性 stereoisomerism】

分子の平面的配列順序が等しいが原子の立体配置が異なるために生じる異性。かつては光学異性幾何異性に大別されたが,現在ではエナンチオ異性ジアステレオ異性に分類される。 1848年L.パスツールは,同一組成をもつ酒石酸とパラ酒石酸(ラセミ酸)の光学的性質の差を説明するのに成功した。しかし分割された右旋性酒石酸と左旋性酒石酸との構造上の関係を理解できるまでには至らなかった。74年J.H.ファント・ホフとJ.A.ル・ベルは独立に,炭素原子が四つの頂点に原子(原子団)のついている正四面体として扱うと,四つの原子(原子団)がすべて異なるとき,すなわち中心の炭素が不斉炭素原子であるとき,二つの幾何学的配列が存在することを示した(図)。

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大辞林 第三版の解説

りったいいせい【立体異性】

二つ以上の化合物で、たがいに分子内の原子の配列順序・構造式は同じであるが、分子内の原子などの空間的配置(立体構造)が異なることによって起こる異性現象。幾何異性・光学異性・回転異性などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

立体異性
りったいいせい
stereoisomerism

分子あるいは多原子イオンにおいて、原子あるいは原子団の立体配置の違いによって生ずる異性の総称。シス‐トランス、シン‐アンチなどの幾何異性、シス‐トランス‐ゴーシュなどの回転異性、対掌体の対を与える光学異性などがある。[岩本振武]

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世界大百科事典内の立体異性の言及

【異性】より

…(3)光学異性 D‐乳酸とL‐乳酸。このうち(2)(3)は原子の配列順序は同一であるが,その空間的関係が異なるものを問題にしており,これらをまとめて立体異性とよぶ。このほか互変異性,配座異性,回転異性,原子価異性などの異性が知られているが,これらのあるものは同一現象の別の表現である。…

※「立体異性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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