改訂新版 世界大百科事典 「オオカニツリ」の意味・わかりやすい解説
オオカニツリ
tall oatgrass
false oat
Arrhenatherum elatius(L.)Mertens et Koch
ヨーロッパ原産のイネ科の牧草で,日本では帰化植物の一つである。やや叢生(そうせい)する多年草で,高さは60~100cmである。茎は立ち,節間は長い。葉は線状の長披針形で,長さは15cmくらい,幅は4~10mmで,表面に毛があってざらつく。5~6月ころ,茎の頂に長さ15~30cmほどの花序を出す。花序は円錐であるが,つまってほとんど穂状に見え,全体に紫色を帯びた黄色で,光沢があり,枝はきわめて短く,小穂は多数密生する。小穂の長さは7mm強で,2個の小花があり,下方の小花は実らず,長い芒(のぎ)があり,上方の小花のみ果実を生ずる。明治の初めにトールオートグラスの名で牧草として輸入し,各地に栽培したものから逸出して帰化植物となった。日本全土に生え,世界の温帯各地に見る。チョロギガヤvar.bulbosum(Willd.)Spennerは本種の茎の根元の節間が小球状に肥大し,塊茎のような結節を作った一変種で,それが縦縞の斑入りになったものが花壇のふちどりなどに利用される園芸植物のリボングラスf.stviatum(Hubb.)L.B.Smithである。
執筆者:小山 鐡夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報