オセチヤ人(読み)オセチヤじん(英語表記)Osetin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オセチヤ人」の意味・わかりやすい解説

オセチヤ人
オセチヤじん
Osetin

オセット人ともいう。自称イロン,北西部ではディゴロン。ロシアの北オセチヤ共和国とジョージアグルジア)の南オセチヤ自治州の構成民族。ロシアに約 38万人,ジョージアに約 13万人が居住する。言語はインド=ヨーロッパ語族のイラン語派に属する。言語や文化の比較研究から,オセチヤ人の祖先は古代イラン系諸族 (スキタイ,サルマート,アラン人など) が中部カフカスに進出するに伴い,先住民と混血同化して形成されたものと考えられている。生業は平野部では農業,山岳地域では牧畜が主であった。社会情況には地域差があり一様ではないが,北西部,南部の諸民族では階層分化が顕著であった。ムイガットという氏族制や大家族制の伝統が長く遵守された。宗教は北オセチヤでは支配者層にイスラム教,農民にキリスト教,南オセチヤではキリスト教が主であるが,伝統的な信仰も根強く,各種の儀礼が近年まで行われた。口頭伝承の代表はナルト叙事詩で,これは北カフカスのカバルダ族,アブハズ族チェルケス族にも伝えられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android