おもちゃの交響曲(読み)おもちゃのこうきょうきょく(英語表記)Kindersinfonie ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「おもちゃの交響曲」の意味・わかりやすい解説

おもちゃの交響曲
おもちゃのこうきょうきょく
Kindersinfonie ドイツ語
Toy Symphony 英語

W・A・モーツァルトの父レオポルトLeopold Mozart(1719―87)の原作による3楽章の小規模なオーケストラ作品弦楽合奏に加えて、おもちゃの楽器(カッコウナイチンゲールウズラらっぱ太鼓トライアングル、がらがら等)を用いるところからこの名称が与えられたが、音楽自体は交響曲というより、むしろ当時流行していた娯楽音楽の性格をもっている。この作品は1770~80年代に、さまざまな作曲者名と題名のもとで流布していたらしい。長い間ヨーゼフ・ハイドンの手になるものと信じられてきたが、最近の研究によって、レオポルト・モーツァルトの『カッサツィオ』Cassatio(野外演奏用音楽の一形式)と題された7楽章からなる音楽から、三つの楽章を抜粋、編曲して現在の形になったことが判明した。編曲者には、ハイドンの弟ミヒャエルMichael Haydn(1737―1806)の名前があげられている。いずれにせよ、この作品の簡潔な楽曲構造や伸びやかな楽想は、18世紀後半に全盛を極めたディベルティメントの精神に基づくものである。

[三宅幸夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「おもちゃの交響曲」の解説

おもちゃの交響曲

オーストリアの作曲家エトムント・アンゲラーの交響曲(1760頃)。原題《Kindersinfonie》。長い間、ヨーゼフ・ハイドンの弟ミヒャエル・ハイドンやレオポルト・モーツァルトが作曲したと考えられていたが、現在はチロル出身のアンゲラーによる作品であることが有力視されている。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android