日本大百科全書(ニッポニカ) 「オーラフソン」の意味・わかりやすい解説
オーラフソン
おーらふそん
Eggert Ólafsson
(1726―1768)
アイスランドの法律家、博物学者、愛国詩人。コペンハーゲン大学で学士号を取得(1748)。母国の博物学と北欧の古代研究がデンマーク科学院に認められ、アイスランド全域の自然地理、自然資源、地方の生活慣習を踏査し(1752~1757)、記念碑的労作『アイスランドの旅』Reise igiennem Islandを著す(1772年デンマーク語で出版)。コペンハーゲン滞在中は、進歩的国民主義者としてアイスランド人学生のリーダーであった。その詩は北欧神話を題材にするなど懐古主義的色彩が濃く、一般に教訓詩である。代表作品である『農場の詩』Búnaðarbálkurは、彼が理想に描いたアイスランド農家のあり方を主題とする。
アイスランドに戻る(1766)と、高級行政官職が約束され、盛大な挙式を行い(1767)、翌年スネフェルスネスSnæfellsnessの新居に向かう航海の途中で遭難、没した。母国苦難の時代に多大な貢献をしたことから、国民的英雄とされる。
[荒川明久]