日本大百科全書(ニッポニカ) 「カメノコロウムシ」の意味・わかりやすい解説
カメノコロウムシ
かめのころうむし / 亀甲蝋虫
[学] Cerostegia japonica
昆虫綱半翅(はんし)目カタカイガラムシ科に属する昆虫。別名カメノコロウカイガラムシ。雌成虫は、直径3~5ミリメートルの半球形をしたろう質の殻で覆われる。殻は白色ないし淡紅色で亀の甲状なのでこの名がある。雌の虫体は暗紫赤色、楕円(だえん)形で、無翅である。気門部から幅広い白色の紐(ひも)状分泌物を出す。雄成虫は体長約1ミリメートルで、体は紫赤色。触角は10節からなり長い。はねは白色半透明。日本では本州、四国、九州、沖縄地方に分布し、多食性で、柑橘(かんきつ)類、チャ、カキ、ナシ、クチナシなど多くの植物に寄生して加害する。年1回発生し、越冬した受胎雌は5月下旬より産卵し、孵化(ふか)した幼虫は6月から夏にかけて成長、9月下旬には成虫となる。カメノコロウトビコバチ(トビコバチ科)などの有力な天敵が知られている。
[林 正美]