日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラフト犬」の意味・わかりやすい解説
カラフト犬
からふとけん
哺乳(ほにゅう)綱食肉目イヌ科に属する家畜のイヌのうち、かつて樺太(からふと)(サハリン)で荷役に従事していた大形のそり犬の総称。犬種標準に基づいて作出繁殖されたのではなく、実用面からのみ飼育されてきたため、体形は立ち耳、垂れ耳、長毛、短毛など統一性がない。交流により内地からの犬種も導入され、交雑もみられた。カラフト犬が一躍世間の関心をひいたのは、南極観測にそり犬として同行してからで、1957年(昭和32)の観測隊には22頭が参加した。しかし本犬種は、総称とはいえ系統的にはハスキーやサモエドなど北方犬種に属し、一定の特徴を有している。体形は、日本犬に比べやや胴が長い。体重約33~44キログラム。毛は、長毛では十数センチメートル、短毛では5~8センチメートルほどで、密生する。胸幅は広くたくましく、前肢は太い。足指の間にも毛が生え、耐寒性に富む。作業欲はすこぶる盛んで、飽きることなくそりを引く性質をもつ。
[増井光子]