改訂新版 世界大百科事典 「カリマーラ」の意味・わかりやすい解説
カリマーラ
Arte di Calimala
中世フィレンツェのギルドの一つ。その実態はまだ不明な点が多い。12世紀以降,同市の中心街であるカリマーラ街には国際商業,特に北西ヨーロッパ産の毛織物の取引を営む大商人が集中していた。彼らは中世商業と双子関係にある金融業や,未完成品の輸入毛織物を染色・仕上加工して再輸出するようになると,こうした工業をも営んだ。同ギルドは最初このような大商人を中核とする,カリマーラ街に店舗をもつ人々からなる,地区団体的な性格をもった一種のギルドであった。しかし同市のギルド制度の整備(13世紀後半)にともない,地区的枠組を越えて,上記のような営業をなす人々一般のギルドとなった。14世紀には,輸入原毛から完成毛織物を生産する毛織物工業ギルドに繁栄の基礎を奪われたが,同市の七大ギルドの一つとして,政治・経済に依然として大きな影響力をもっていた。
執筆者:斉藤 寛海
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報