化学辞典 第2版 「カリ資源」の解説
カリ資源
カリシゲン
resources of potassium
カリ資源としてもっとも広く用いられるのはカリ鉱物のカリウム分である.これらには水難溶性(明ばん石類,ケイ酸塩類)と水溶性とがあり,後者はそのままカリ肥料などになるが,前者は化学処理を要する.欧米のカリ塩原料鉱物はシルビナイトKCl・NaCl,カーナリットKCl・MgCl2・6H2O,ハルトザルツKCl・NaCl・MgSO4・H2Oなどが多い.わが国では,水溶性カリ鉱物は産出せず,第二次世界大戦中は明ばん石3(Al2O3・SiO2)・K2SO4・6H2O(K2O分4~5%),カリ石英粗面岩K2O・Al2O3・6SiO2 + (2~3)SiO2(カリ分6~10%),絹雲母などを加熱,化学前処理して水溶性にする研究をしていた.アメリカではかん湖のかん水からKClを晶出させ,イスラエルでは死海の海水から天日蒸発でカーナリットをつくり,KClを分離している.にがり塩化カリウムから,肥料用塩化カリウム,工業用塩化カリウム(K2O53% 以上)を製造する方法もある.そのほか,褐藻類海草(水溶性K2SO4,KCl 3%),草木灰(K2CO3),セメントダスト(K2O2~3%)などからも回収される.わが国のカリ塩工業では,にがりと海草が主資源であったが,現在は中止され,もっぱら輸入によっている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報