改訂新版 世界大百科事典 「ガンゼキラン」の意味・わかりやすい解説
ガンゼキラン
Phajus flavus(Bl.) Lindl.
日本の暖帯以南の常緑樹林の林床に生える地生ラン。大型の黄色い花と唇弁の黄褐色の縁どりが印象的なラン科植物。偽球茎は楕円体状で,長さ4~8cm,その上部の茎は葉鞘(ようしよう)に包まれ目だたない。葉は3~5枚,葉身は長楕円形で長さ20~40cm,幅5~8cm,縦じわがあり,葉鞘は長さ20~30cm。花茎は偽球茎の基部より側生し,高さ40~60cm,10~20花を4~7月につける。花は黄色,直径約5cm,開出または半開する。萼片と花弁は狭長楕円形で,長さ約3.5cm。唇弁は,少し短く,筒状で,黄褐色の縁どりがあり,先端は3裂する。長さ7~8cmの距がある。花粉塊は8個。日本南部より東南アジアに広く分布する。鮮黄色の花を観賞するため栽植され,葉に黄白点をちらす系統は,ホシケイランと呼ばれる。近縁のカクランP.tancarvilleae(Banks)Bl.は種子島以南から東南アジア,さらにポリネシア西部までアジア熱帯域に広く分布する大型の地生ランで,花は直径10cm以上になり,花弁の外側は白色,内側は黄褐色と桃色でみごとである。温室で栽培される。
執筆者:井上 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報