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温室 おんしつgreenhouse

翻訳|greenhouse

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

温室
おんしつ
greenhouse

寒さに弱い植物を保護して育てるための設備の一つ。通常ガラス張り建物として,太陽光線を十分に受けるようにし,必要に応じ暖房するが,冬季特に寒冷な地方では,放射による熱の散逸を防ぐことも考慮する。なお湿度の条件も重要で,温度日照,湿度のすべてについて最高条件を得るように調節するには,ファイトトロンがある。農業用フレームなどは,ごく簡易な温室といえる。

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デジタル大辞泉の解説

おん‐しつ〔ヲン‐〕【温室】

内部の温度を一定に保てるように設備した、ガラスやビニール張りの建物。 冬》

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百科事典マイペディアの解説

温室【おんしつ】

熱帯または亜熱帯の植物を栽培するために建てられる加温設備をもつガラス室のことで,近年では塩化ビニルなどもガラスに代わって用いられる。両屋根式や,スリークオーター(不等辺屋根)式,あるいは装飾的建築として建てられるコンサーバトリーなどが基本となっているが,近年では観光温室的な大温室も盛んに造られている。
→関連項目ビニルハウス

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世界大百科事典 第2版の解説

おんしつ【温室 greenhouse】

加温設備をもつガラス張りの植物栽培用の建物。これに対してビニルやポリエチレンフィルムを張った植物栽培用の建物をハウスという。ハウスは1年のうちのある特定の期間だけ利用し,寿命も数年であるが,温室は1年を通して利用する半永久的な施設である。温室は屋根の形から片屋根式,スリークオーター(不等辺屋根)式,両屋根式,連棟式,ドーム型などに分類される。温室を建てる場合には,作物の種類や利用目的によって形や大きさを決め,木,鉄,アルミニウムなどで骨組みを作る。

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大辞林 第三版の解説

うんじつ【温室】

(寺院の)湯あみする建物。湯殿。また、行として僧に湯あみさせること。

おんしつ【温室】

植物を促成栽培するためや、寒さから保護するための保温装置のある建物。
〘仏〙 〔古くは、「おんじつ」〕 浴室。湯殿。 「上人-に入て瘡をたでられけるが/太平記 18

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

温室
おんしつ
greenhouseglasshouse

植物の栽培を目的とし、骨組みした外側をガラスやプラスチック、またはビニルシートで覆ってある建物で、暖房設備のあるものをいう。暖房設備のないものは冷室または無暖房温室という。温室はもともと冬の低温期に植物を寒さから保護し、あるいは生育を促進させることを目的とした施設であるので、栽培する植物に適した生育環境を人為的につくりだす設備であるといえる。したがって寒さに弱い熱帯性の植物あるいは温帯性の植物などそれぞれに適した栽培温度が必要で、それには太陽の光、温度、湿度、水分を自由に調節できることが理想である。温室は使用目的によって規模、構造、形状などが異なる。特殊な例としては人工気象室がある。これは研究実験室として使用するもので、冷暖房、照明、日長などの調節ができる完全栽培施設である。温室は建物の周りをガラスで覆っていることから一名ガラス室ともよばれる。ビニルハウスも広義には温室に含まれるが、一般的には温室とビニルハウスは区別される。[堀 保男]

温室の歴史

ローマ時代、野菜などの栽培のために石穴や室(むろ)を利用して人工的に保温したといわれている。保温し栽培する温室の最初といえるだろう。本格的な温室としては1619年にドイツのハイデルベルクに建てられたものが最初である。1694年にはイギリスの薬用植物園でガラスを使った温室が建設された。温室ブドウの栽培ではイギリスのハンプトン・コートが有名で、1768年にブラックハンブルグ種を植え、200年以上も前の親株が現在も生存している。
 日本では、江戸時代後期に油を引いた障子紙で鉢物を保温している絵があるところから、いまのフレーム的に利用されたものと推定される。ガラスを用いた温室は1870年(明治3)に東京・青山の開拓使の園中(現在の青山学院大学所在地)に建てられたのが最初とされる。1877年にはイギリス人のジェームスが横浜の邸内に趣味温室をつくった。生産温室としては、1879年に横浜の脇(わき)金太郎が西洋人の指導のもとに花卉(かき)温室をつくり西洋草花を栽培した。1882年にはイギリス人のジャーメルやドイツ人のベーマーLouis Boehmerらが営利生産を目的に大規模温室を建て、西洋草花を栽培し販売し始めた。また、1890年代に、アメリカとの交流が盛んになると、ラン類やサボテン類がたくさん輸入され、温室の建設が急激に増えた。大規模で集団化した温室は1920年(大正9)ごろからで、専門的にバラやカーネーションあるいは小規模ながらもブドウの栽培が行われてきた。現在のような大規模な野菜栽培が行われるようになったのは、1955年(昭和30)ごろから盛んとなった大型ビニルハウスが始まりで、大型ガラス温室に移行したのは1965年前後からである。[堀 保男]

種類

温室は利用目的別(営利生産温室、観賞温室、家庭用温室)あるいは屋根型によって分類することができる。[堀 保男]
営利生産温室
農家や園芸専門店が、トマト、キュウリなどの野菜や、バラ、カーネーション、シクラメン、ラン類などの花卉、ブドウ、モモなどの果樹、観葉植物の鉢物を生産栽培する温室で、規模が大きく、大型単棟、連続棟のものが多い。[堀 保男]
観賞温室
公私立植物園、農場、学校などで、観賞展示、試験研究用に多種多様の植物を栽培、展示する温室で、目的により規模もさまざまあり、温室の形にもくふうが凝らされ、内部、外観ともに美的要素が取り込まれている。[堀 保男]
家庭用温室
一般家庭で、熱帯性植物や寒さに弱い植物を栽培する際に用い、寒さから守り観賞に供するための温室をさし、とくに趣味的な面が強いので、形や大きさもいろいろある。最近ではアルミ材、曲面ガラスの普及から、母屋に接続したサンルーム兼用の温室や、室内装飾も兼ねた小型の観賞温室も多い。[堀 保男]
屋根型による区別
両屋根、片屋根、不等辺屋根(スリークォーター式ともいう)、丸屋根(ドーム型)、駒(こま)型などがある。[堀 保男]

構造

基礎や建築構造が一般の建物と同じように風雪に耐える設計であることが必要であるので建設費も高くなる。骨組は被覆材の重みに耐え、しかも日射の遮断が極度に少ないことが条件となる。柱、合掌(がっしょう)、母屋(もや)、垂木(たるき)などの材料には木材、鉄骨、アルミ合金が用いられ、また、これらを複合的に組み合わせたものが多い。屋根材にはガラスのほか、透明度や保温を考慮し改良されたプラスチック板も利用されつつある。一般に屋根ガラスは3ミリメートル、横ガラスは2ミリメートルのものを使用する。
 ガラスやビニルシートで覆った施設内の温度は、日中には太陽光線を受け外気よりも高くなる。これは、地面が吸収した熱を放射し、また熱が外に逃げにくいためである。これを温室効果とよび、作物によっては換気が必要となる。夜間は外気温が低いため、熱は地面から離れ被覆材を経て逃げる。したがって冬季の室温維持には、暖房とあわせて、内部をポリエチレンシートなどで二重にすると、保温効果が高められる。最近は室内の温度管理とともに風の流れなど微気象の研究も進み、マイコン利用による強制換気設備もつけられるようになってきた。[堀 保男]

温室建設と管理上の留意点

(1)場所 日当り、通気、排水のよい場所が最適で、とくに冬の北風は避けられる所がよい。また、梅雨時に室内に水が流入しない場所であることがだいじである。
(2)棟の方向 棟の方向には主として東西と南北がある。棟の方向によっては、冬の日照を十分に取り込むことができない場合がある。熱帯性の植物などには冬季の日照はなくてはならないものである。大型の温室の場合は南北棟にしたほうが、光の入射が平均する。家庭での小形のものは東西棟でも建物や作物の影響が少ない。
(3)面積 温室はフレームと異なり、中に入って管理することが必要なので、通路、加温設備のほか、棚(たな)(ベンチ)なども設置することを加味して決定する。金属性の組立て式のものは規格があるので、それにあわせたほうが安価に建設できる。
(4)構造 ガラスやプラスチック屋根では、台風や雪害に耐えることがだいじであるので、骨組には筋かいを入れる。夏季にも室内を使用するには、高温対策として、横窓、天窓などが十分に開き、換気ができることがたいせつである。
(5)暖房 温室内の暖房法には、直接方式と間接方式がある。直接方式は、ストーブを用い、石油、ガス、石炭など(主として石油類)を燃やし、その熱を吸い出すか送り出すことによって暖房する。また例は少ないが電気ヒーターを利用したものもある。これらは一般に温風暖房とよぶ。この方式は、効率はよいが、室内がやや乾燥する。間接方式は、石油や石炭などを燃料に、温湯または蒸気をつくり、温室内に配管された放熱管で循環させ暖房する。一般に温湯暖房、蒸気暖房とよんでいる。この方式は、室内温度が平均化し、温度管理がしやすい。
 小規模の家庭温室の暖房には、電気温風機や石油ストーブを活用するとよいが、とくに石油ストーブは温室用に開発された煙突のあるものを使用しないと、燃焼ガスや不完全燃焼により有毒ガスが発生して、室内植物が大被害を受けることがある。
 冬の温度管理としては、夜間の温度変動が少なく、ある程度一定したほうがよい。極度に高温を必要とする熱帯性植物以外のものは、平均して10~13℃あれば十分越冬する。
(6)灌水(かんすい)施設 温室内は四季を通じ乾燥しやすいため、灌水施設は植物管理に欠くことができない。とくに冬季、熱帯性草花には冷水を嫌うものもある。この場合は、一度貯水し室温になじんだ温水をやるとよい。規模によっては噴出、散水、噴霧の各式や自動灌水装置などの設備が設けられている。[堀 保男]
『板木利隆著『施設園芸 装置と栽培技術』(1983・養賢堂)』

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