ガーザーンハーン(その他表記)Ghāzān Khān

改訂新版 世界大百科事典 「ガーザーンハーン」の意味・わかりやすい解説

ガーザーン・ハーン
Ghāzān Khān
生没年:1271-1304

イル・ハーン国第7代のハーン。フレグ曾孫。在位1295-1304年。イル・ハーン国が派閥抗争と財政破綻により内部崩壊の危機に直面した多難の時期に即位し,その危機を克服したことで名高い。即位するや,まず対立勢力を鎮めると敵国マムルーク朝への遠征を繰り返し敢行して内部結束を固めることにつとめた。これと並行して《モンゴル史》編纂事業を自ら企画・遂行し,麾下の諸部族にチンギス・ハーン直系でフレグ家嫡流の自らに対する忠誠心を強固に呼びさまさせた。また,ラシード・アッディーンを登用して税制改革を軸とする諸改革を断行する一方,イスラムに改宗してイラン人との融和をはかり,内政の安定を実現させた。ガーザーン自ら口述してペルシア語ラシードに編纂させた《モンゴル史》はその後,ウルジャーイートゥー・ハーンの命で改変され,現在,《集史》〈モンゴル史〉の形で伝えられている。モンゴル帝国盛時のモンゴルの帝王を事実上の作者とするこの書はモンゴル帝国史研究上,屈指の貴重史料となっている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のガーザーンハーンの言及

【イル・ハーン国】より

…これと財政破綻とが相まってフレグ一門を王族に戴く部族連合の結束は極端にゆるみ,イル・ハーン国は国家存亡の危機に直面した。1295年即位したガーザーン・ハーン(フレグの曾孫)は,長らく続いた政争を収拾すると敵国マムルーク朝への遠征を繰り返し敢行して内部結束を固める一方,国史編纂事業を推進し,麾下の諸部族にモンゴル帝国の栄光とガーザーン・ハーンに対する忠誠心をよびおこさせた。さらに彼はラシード・アッディーンを起用し,税制改革を軸とする諸改革を断行して中央集権化を進めるとともにイスラムに改宗してイラン人との融和をはかった。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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