日本大百科全書(ニッポニカ) 「キカワムシ」の意味・わかりやすい解説
キカワムシ
きかわむし / 樹皮虫
昆虫綱甲虫目キカワムシ科Pythidaeに属する昆虫。ユーラシア大陸とアメリカに分布する一群の甲虫であるが、種類数は少なく、約50種。中形で体は長く、後方へやや広がり、背面は平たい。触角は短くてやや数珠(じゅず)状で先の節がすこし太くなり、前基節の後方は開いている。跗節(ふせつ)の数は5節で、後脚(こうきゃく)だけ4節。日本産は2種だけで、ともに山岳地帯の森林にすみ、成虫は普通針葉樹の枯れ木や倒木にみられ、幼虫と同じく樹皮下にもみいだされ、食肉性である。オオキカワムシPytho nivalisは17ミリメートル内外、黒色で背部に紫銅色ないし緑銅色の光沢を帯びる。クロキカワムシP. ezoensisは11ミリメートル前後で黒色。
小形種を含むチビキカワムシ科Salpingidaeは、この科に含めることがあり、枯れ木や薪(まき)に集まるチビキカワムシ属Lissodemaのようなものが多いが、海浜の干潮線付近にすむイワハマムシ属Aegialitisや川岸の岩の下などにいるムネマルチビキカワムシ属Salpingusなどもあり、約300種が知られている。
[中根猛彦]