旺文社世界史事典 三訂版 「ギリシア文化」の解説
ギリシア文化
ギリシアぶんか
エーゲ文明を消化吸収した古代ギリシア人は,ポリスの自由な市民の共同体により,労働を奴隷にゆだね,余暇を公共生活や学芸の創造にあて,すぐれた文化をつくった。合理的な性格,完全美の追求,人間性の高い発露などが特色で,それはギリシア神話・ギリシア美術・ギリシア哲学などの分野にみることができる。市民の間では,運動競技や演劇が愛好され,特に演劇の場合は,観劇手当が支給された。神話は現世的・人間的であり,美術は写実と調和と完全美を追究し,哲学は「愛知」として,客観的真理を探究した。ポリスが衰退したのち,いわゆるヘレニズム文化(狭義)が生まれた。自由と合理的精神を特徴とするギリシア精神・ギリシア文化の伝統は,ヘレニズム(広義)となってヘブライズム(キリスト教思想)とともにヨーロッパ文化の二大潮流となった。
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