改訂新版 世界大百科事典 「ギルザイ」の意味・わかりやすい解説
ギルザイ
Ghilzai
アフガニスタンのパシュトゥーン族の有力な一派。中央アジアのトルコ系カルルク族の一部であるハラジュKhalajが南下し,10世紀中ごろまでに今のアフガニスタンの各地で遊牧を営んでいた。この子孫がギルザイである。彼らの一派はインドに入ってデリーにハルジー朝(1290-1320)を建てた。また1722年にはギルザイのホタキー族の族長ミール・ワイスの子ミール・マフムードMīr Mahmūd(1699-1725)が,サファビー朝の都イスファハーンを占領した。しかし統一されたことがないため,ドゥッラーニー系によるアフガニスタン建国以後は,歴史の主役になっていない。しかしつねに中央政府にとって脅威であった。これに所属する部族としては,ホタキー,トヒー,ナザル,アンダル,タラキー,アリー・ヘール,スライマーン・ヘールなどがある。1978年成立のアフガニスタン民主共和国元首ヌール・ムハンマド・タラキーはタラキー族の出身である。
執筆者:勝藤 猛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報