改訂新版 世界大百科事典 「パシュトゥーン」の意味・わかりやすい解説
パシュトゥーン
Pashtūn
アフガニスタン全域からパキスタン北西部にかけての地域に住むアーリア系の民族。アフガーンAfghān,パターンPathānとも呼ばれる。人口約1500万,すべてイスラム教徒である。母語はインド・ヨーロッパ語族のパシュト語で,アラビア文字で表記される。原住地は今のアフガニスタン・パキスタン国境を走るスレイマン山脈地方で,18世紀中ごろカンダハールを中心としてアフガニスタンを建国した。1893年,アフガニスタンとイギリス領インドの国境が画定され,これが彼らの住地を二分して,パキスタンでは北西辺境州を形成している。文明になじむことが少なく,農業,遊牧,商業をおもな生業とする。パシュトゥヌワレイという独自の慣習法を維持しており,武勇と自由を愛し,復讐,異人歓待,部族集会などの習慣をもつ。その住地は海に面することなく,天然資源に乏しいから,経済的には振るわない。
執筆者:勝藤 猛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報