日本大百科全書(ニッポニカ) 「クサンティッペ」の意味・わかりやすい解説
クサンティッペ
くさんてぃっぺ
Xanthippe
生没年不詳。ソクラテスの妻。かなり晩年のソクラテスと結婚したらしく、彼が刑死したとき(前399)、下の2人の息子ソプロニスコスとメネクセノスはまだ子供であった。彼女は後妻であったとの伝えもあるがさだかでない。妻として、彼女は夫の言動をまったく理解せず、つねに口汚く夫を軽蔑(けいべつ)、ののしっており、古来、悪妻の代表として有名である。あるとき、彼女がソクラテスをどなりつけ水をぶっかけると、ソクラテスは「そら私のいったとおりクサンティッペがごろごろいうとあとは夕立だ」とすましていたという。しかし、彼女の悪妻ぶりについては後世の誇張が多分に込められており、確実なものはほとんどないといわれている。
[真下英信]