山川 世界史小辞典 改訂新版 「クシャーン朝」の解説
クシャーン朝(クシャーンちょう)
Kushān
クシャーナ朝(Kuṣāṇa)ともいう。1~3世紀に,アム川流域からガンジス川流域までを支配した中央アジアの王朝。その前身は大月氏(だいげつし)の五翕侯(ごきゅうこう)(ヤブグ)の一つ貴霜(きそう)(クシャーン)であった。族長クジュラ・カドフィセスは他の翕侯を併合してクシャーン王朝を創始し,ついでヴィマ・タクト(Vima Taktu),ヴィマ・カドフィセス(Vima Kadphises,閻膏珍(えんこうちん))の両王がインドに侵攻し,ローマ帝国のインド洋貿易と漢帝国の陸路シルクロード貿易とを結びつけた。クシャーン人も東西貿易を仲介して富裕となり,そのもとで東西世界の思想,芸術が融合した。有名なガンダーラ美術はクシャーン人の寄進に負うところが多い。3世紀中頃にサーサーン朝に征服され,クシャノ・サーサーン王朝として5世紀末まで存続した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報