寄進(読み)きしん

日本大百科全書(ニッポニカ)「寄進」の解説

寄進
きしん

「物を寄せまいらせる」ことで、社寺に土地や財物を寄付することを意味する。通常、「勧進(かんじん)」に対して用いられる語で、勧進が人に勧めて社寺などに金品を奉納せしめるのに対し、寄進は自ら進んで奉納寄付することをいう。多くの場合、国家の安寧、領内の安全、一門一家の繁栄、一身の出世栄達、さらには仇敵調伏(きゅうてきちょうぶく)などの祈願のために行われた。寄進される財物のことを寄進物といい、太刀(たち)、弓矢、馬をはじめ、さまざまなものが含まれ、のちには、芸人の奉仕出演の上がり高を神社に寄付するということも行われた。寄進に際し、祈願の趣旨を記した文書が添えられるが、これは寄進状、寄付状、あるいは奉納状といわれ、古社寺の経済的研究に重要な資料となっている。

[松本 滋]

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精選版 日本国語大辞典「寄進」の解説

き‐しん【寄進】

〘名〙
① 神社や寺院に、金銭や物品を寄付すること。奉納。奉加(ほうが)
※中右記‐元永二年(1119)五月一二日「年来所知山科之散所、治部卿被寄進院事子細可院也」
※浮世草子・日本永代蔵(1688)三「我たびたび開帳せしに戸帳かくきれ損じけるを寄進(キシン)に新しく掛かへんといふ」
② 他人に、金銭や物品を与えること。ほどこし。めぐみ。喜捨(きしゃ)
※わらんべ草(1660)四「従金春請取四枚、其外は、我等代に、家へ寄進」

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世界大百科事典内の寄進の言及

【寄進状】より

…その動機は宗教的なものが多い。古くは献物帳,次いで施入状などと称したが,平安時代中期ころから寄進状と呼ばれることが一般的となった。書式は冒頭に〈寄進〉とあり,末尾に〈仍寄進状如件〉と書き止めるのが普通であるが,寄進者の立場により,御教書(みぎようしよ),奉書,朱印状などの形をとることもある。…

【ヨーロッパ】より

…このような状況もキリスト教の死生観の普及を助長したのである。 人びとは競って教会に寄進し,天国における救いを確かなものにしようとした。キリスト教会は古代以来の互酬関係を現世の寄進と死後の救いの関係のなかに取り込み,彼岸での救いを求める者は教会に寄進するよう呼びかけたのである。…

※「寄進」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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