改訂新版 世界大百科事典 「クラピナ」の意味・わかりやすい解説
クラピナ
Krapina
クロアチアのザグレブ南西40km,クラピナ市のフスニャクHušnjak山にある岩陰遺跡。1899-1905年にゴルジャノビック・クランベルガーD.Gordjanovic-Krambergerにより発掘され,多くのホモ・ネアンデルタレンシスの人骨片が見つかった。人骨は,ドイツのネアンデルタールやフランスのラ・フェラシーなどの典型的なホモ・ネアンデルタレンシスと比べると,眼窩上隆起が細く,華奢な感じがする。それは,ホモ・ネアンデルタレンシス独自の特徴がまだ発達していないと考えられ,あるいは単なる地域変異にすぎないともいわれる。四肢骨は頑丈である。人骨は破片になっているものが多く,食人の証拠といわれている。年代は,電子スピン共鳴法により13万年前と推定されている。
→ホモ・ネアンデルタレンシス
執筆者:馬場 悠男
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