日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリベッリ」の意味・わかりやすい解説
クリベッリ
くりべっり
Carlo Crivelli
(1430/1435―1495)
イタリア、ルネサンス期の画家。ベネチア生まれと思われ、イタリア中部のアスコリ・ピチェーノで没した。ベネチアのムラノ島のビバリーニVivarini一族、パドバのスクァルチオーネFrancesco Squarcione(1397―1468)やマンテーニャ、またトスカナの画家からも影響を受け、独自の装飾的画風を確立した。主としてマルケ地方南部で活躍し、モンテ・フィオーレ・デラッソやアスコリ・ピチェーノ(1473)などに多くの多翼祭壇画を残した。いずれも黄金地に鋭い描線と華麗な色彩を用いて、かなり様式化された聖母子や聖人を描き、ルネサンス的というよりも後期ゴシック的な傾向が濃厚である。『マグダラのマリア』(1480年ころ。アムステルダム国立美術館)、『聖告』(1486年。ロンドン、ナショナル・ギャラリー)、『聖母戴冠(たいかん)』(1493年。ミラノ、ブレラ美術館)などの代表作のほか、小品の聖母子像も十数点残されている。
[篠塚二三男]