ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パドバ」の意味・わかりやすい解説
パドバ
Padova
聖アントニオ大聖堂(1232~1307)には聖アントニウスの墓所があり,主祭壇にはドナテロ作の彫刻や浮彫(レリーフ)が飾られている。また,聖堂前広場には同じくドナテロ作で,ベネチアの傭兵隊長エラズモ・ダ・ナルニ(通称ガッタメラータ)をかたどったブロンズ像『ガッタメラータ騎馬像』(1447~50。1453年設置)が据えられている。1552年再建のパドバ大聖堂にはロマネスク様式の洗礼堂がある。そのほか,パラッツォ・デラ・ラジョーネ(1218~19。1306年再建),パラッツォ・デル・カピターノ(1532),16~17世紀建造のパラッツォ・デル・ボーは,ボローニャ大学に次いで世界で 2番目に古い 1222年創立のパドバ大学の中核施設である。
スクロベーニ礼拝堂(1303~05)にはジョットの,スクオーラ・デル・サント(中世の職人ギルドの建物)にはティツィアーノのそれぞれ有名なフレスコ画が納められている。なお,ジョットおよびジョッテスキ(ジョット派)と呼ばれる画家たちが手がけたフレスコ画を収蔵している,スクロベーニ礼拝堂,エレミターニ教会,パラッツォ・デラ・ラジョーネを含む 4地区,8件の建築群は 2021年,「パドバの14世紀フレスコ作品群」として世界遺産の文化遺産に登録された。1545年創設の植物園はヨーロッパ最古(それより少し先に開園したピサの植物園は 2度移転しており,原位置を維持している植物園としてヨーロッパ最古)とされ,1997年に世界遺産の文化遺産に登録された。植物園の西側には運河に囲まれた楕円形の広場プラート・デラ・バッレがあり,周囲にはパドバの著名人の銅像が並んでいる。
鉄道と道路が分岐するパドバは,農業,工業,商業の中心地でもある。電気機器,農業機械,オートバイ,化学薬品,合成繊維などが製造される。人口 21万4198(2011推計)。
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