フィリピン,ルソン島中央部に住むタガログ族の愛の歌。古くは,求愛に際して男が女に捧げた。通常,クンヒンディマンkung hindi man(私はしがない者だが)で歌詞が始まることから,クンディマンと呼ばれるようになったという。3/4拍子,短調で,哀感を漂わせた感傷的な旋律を特徴とする。1880年から1930年頃にかけての半世紀ほどの間に隆盛を極め,特にフィリピン革命時には《バリワッグのホセリーナ》というクンディマンを兵士達が好んで歌ったという。代表的作曲家として,近代クンディマンの父と呼ばれるB.アブドンや,F.サンチアゴ,N.アベラルド等がいる。 執筆者:山下 美知子