化学辞典 第2版 「グタペルカ」の解説
グタペルカ
グタペルカ
gutta-percha
マレー半島,スマトラ,ボルネオなどに自生するPalaquimおよびPayena属植物の乳液から得られるゴムに類似する熱可塑性物質.主成分はグタ(gutta)で,これは天然ゴムと同様のポリイソプレン構造 (C5H8)n をもつが,トランス形に結合している点でゴムと異なり,重合度もゴムよりはるかに低い(1/10~1/20).白~赤褐色で,常温では硬い固体であるが,約50 ℃ 以上で軟らかくなり,弾性および塑性を生じる.ベンゼン,クロロホルムに可溶,エタノール,アセトン,エーテルに微溶.濃硝酸,濃硫酸以外の酸には侵されず,電気絶縁性が高い.従来,海底電線の被覆用としておもに使用されたが,最近では合成樹脂類に置き換えられている.電気絶縁体のほか,耐酸容器,ベルトの製造,ゴルフ球の被覆用などにも用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報