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硝酸 しょうさんnitric acid

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

硝酸
しょうさん
nitric acid

化学式 HNO3 。無色の液体で,発煙性が激しい。融点-41.3℃,沸点 86℃。普通に硝酸というときは,その水溶液をさす。硝酸水溶液としては 98%硝酸 (比重 1.50以上) ,62%硝酸 (1.38以上) ,50%硝酸 (1.31以上) がある。

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デジタル大辞泉の解説

しょう‐さん〔セウ‐〕【硝酸】

無色で発煙性をもつ液体。通常は水溶液をさす。強い酸化剤で、多くの金属を溶かし、有機化合物硝化する。工業的にはアンモニアを酸化して製する。肥料・火薬・染料や硝酸塩などの製造原料に使用。化学式HNO3

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百科事典マイペディアの解説

硝酸【しょうさん】

化学式はHNO3。100%HNO3は無色発煙性の液体で,融点−42℃,沸点83.8℃。水溶液は強い一塩基酸で,比重1.42のもの(共沸混合物)は69.8%のHNO3を含み,沸点123℃。
→関連項目空中窒素固定工業中毒酸性雨

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栄養・生化学辞典の解説

硝酸

 HNO3 (mw63.01).強酸の一つで,酸化力もあり,ニトロ化する能力もある.多くの塩が可溶性である.

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世界大百科事典 第2版の解説

しょうさん【硝酸 nitric acid】

化学式HNO3。すでに8世紀ころ,アラビアで硝石と硫酸銅とミョウバンとからつくられていたといわれる。硫酸と硝石から硝酸をつくる方法はドイツのJ.R.グラウバーによって考案され17世紀から行われた。
[性状]
 濃硝酸はしばしば光化学反応によってNO2を生じ黄褐色になっている。 濃硝酸は強力な酸化剤であり,金,白金,ロジウム,イリジウムのような貴金属のみが侵されない。また塩酸を酸化して塩素を遊離する。王水に金,白金などが溶けるのはこの発生期の塩素の作用による。

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大辞林 第三版の解説

しょうさん【硝酸】

無色で刺激臭のある液体。化学式 HNO3 アンモニアの酸化によって得る。空気中では発煙する。水と任意の割合で混ざり、水溶液は酸性。普通、硝酸といえば水溶液をさし、市販品は約69パーセントの水溶液。酸化作用が強く、銀・銅・水銀などを溶かす。合成化学の重要原料で、硝酸エステルやニトロ化合物をつくる。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

硝酸
しょうさん
nitric acid

酢酸、硫酸に次いで古くから知られている酸の一つで強酸。化学式HNO3で示される化合物、あるいはその水溶液をいうが、普通は後者をさすことが多い。[守永健一・中原勝儼]

歴史

古く8世紀ごろ、アラビアにおいて緑礬(りょくばん)FeSO47H2OまたはミョウバンKAl(SO4)212H2Oと硝石KNO3とを混合して蒸留することによってつくられていた。17世紀になってドイツのグラウバーがこれを改良し、ビトリオール油(濃硫酸)と硝石との混合物を蒸留し、純粋な硝酸をつくった。銅、銀などを溶かすことから、ビトリオール油よりも強いということで、「強い水」という意味のラテン語をとりaqua fortisといわれ、また硝石の精という意味からイギリスではspirit of nitreともいわれていた。硝酸ということばは、1879年にフランスのラボアジエによってフランス語でacid nitriqueと命名されて以来用いられるようになった。[守永健一・中原勝儼]

製法

実験室では硝酸アルカリに硫酸を作用させ、100~120℃に熱して蒸留してつくる。工業的には、19世紀末から20世紀初めにかけて、チリ硝石NaNO3と硫酸の複分解を用いる方法や、放電によって空気中の窒素と酸素とを化合させ、生じた窒素酸化物を水に吸収させ硝酸とする電弧法が行われていた。現在ではアンモニア酸化法が用いられる。オストワルト法ともいわれ、アンモニアを酸素によって酸化してから水に吸収させてつくる。
  4NH3+5O2→4NO+6H2O
  2NO+O2→2NO2
  3NO2+H2O→2HNO3+NO
すなわち、アンモニアと空気を混合し(アンモニア約10%)、700~900℃に加熱した白金合金(ロジウム10%)を触媒として酸化する。生成ガスを冷却すると二酸化窒素に変わる。これを水に吸収させるとき発生する一酸化窒素は、吸収塔内で酸素により二酸化窒素となってふたたび吸収される。この過程が繰り返されて硝酸の濃度が高くなる。水による吸収は圧力が高いほど効率がよいので、酸化工程を常圧にし吸収工程のみを加圧する方式や、両工程を加圧する方式などがあるが、得られる硝酸濃度は普通60~65%である。硝酸は69.8%で最高沸点123℃をもつので、蒸留だけではこれ以上に濃縮することができない。98~100%濃硝酸を得るには、脱水剤として濃硫酸または無水硝酸マグネシウムを加えて蒸留する。また、四酸化二窒素を希硝酸とともに高圧釜(がま)に入れて酸素を吹き込んで、直接濃硝酸を得る方法もある。濃硝酸にさらに二酸化窒素を溶かすと、空気中で発煙性の赤褐色溶液となる。これを発煙硝酸といっている。なお硝酸の製造工程についてはを参照。世界で約3000万トン程度、日本では60万トン生産されている(2005)。[守永健一・中原勝儼]

性質

純粋な硝酸は無色の液体で、吸湿性が強く著しく発煙する。光に当たると一部分解する。市販の濃硝酸は60~70%、比重1.38~1.42の水溶液である。酸化力が強く、金、白金、ロジウム、イリジウムなどの貴金属以外の金属とは激しく反応し、これを溶かすが、鉄、クロム、アルミニウムなどは不動態をつくって侵されない。多くの有機化合物を酸化またはニトロ化する。濃硝酸1、濃塩酸3の割合で混合したものは王水といわれ、白金や金なども溶かす。希硝酸は強い一塩基酸であるが(電離度は1規定で82%、0.1規定で93%)、酸としての強さは、濃硝酸は同じ濃度の濃塩酸よりは劣る。また、濃硝酸を冷暗所以外に置くと、日光などの作用で徐々に分解し黄褐色となる。強い酸化剤で、硫黄(いおう)、リンなどと熱すると、それぞれ硫酸、リン酸などを生じる。希硝酸にも酸化作用があるので、銅、銀、水銀なども窒素酸化物を生じて希硝酸に溶ける。[守永健一・中原勝儼]

用途

硝酸やリン硝安肥料など肥料用、硝酸ナトリウム、鉛室法硫酸(二酸化硫黄の酸化)、ニトログリセリン、ニトロセルロース、TNT、ピクリン酸など火薬の原料となるニトロ化合物の合成、セルロイド、染料(アゾ染料、アニリン染料など)、顔料、アジピン酸や化学繊維などの製造原料として用いられるほか、めっきや酸洗用、医薬品として収斂(しゅうれん)剤その他に用いられる。また、濃硝酸はアミン類と急激に反応分解するので、ロケット推進薬の酸化剤として用いられる。劇薬で、皮膚、口、食道、胃などを冒す。また、発煙硝酸を吸入しても気管を侵し、肺炎となるおそれがある。大気中の許容濃度は10ppmである。[守永健一・中原勝儼]

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