…クレムリンが今日見られるような形になったのは,15世紀末から16世紀にかけてのことである。ロシア教会の総本山にあたるウスペンスキー聖堂,歴代大公および後のツァーリらの柩をおさめるアルハンゲリスキー聖堂,大公家の私有教会であるブラゴベシチェンスキー聖堂,外国の使者を接見し,祝宴を催すルネサンス風建築グラノビータヤ宮殿,〈大イワン(イワン・ベリーキー)〉と呼ばれる鐘楼もこの時期に建てられた。ツァーリ一家の居館(テレム宮殿)や総主教館は17世紀,武器庫(アルセナール)や元老院は18世紀,700の部屋をもつ大クレムリン宮殿は19世紀に建てられた。…
…それでも1382年にはキプチャク・ハーン国のトフタミシ・ハーンによって町が占領され,焼き払われた。 15世紀にはモスクワを中心とする全ロシアの統一がすすみ,イワン3世は1480年にキプチャク・ハーン国からの完全な独立を果たすとともに,イタリアからフィオラバンティ,ソラリなどの技術者を招いて,今に伝わるクレムリンの塔と城壁,城内の多稜宮(グラノビータヤ宮殿)Granovitaya palataや石造のウスペンスキー聖堂などを造営した。当時,大公の一族と大貴族,府主教などはクレムリン内に住み,商人や職人たちはほぼ職種ごとにクレムリンの周囲に集落を形成し,15世紀末には人口は15万をかぞえた。…
※「グラノビータヤ宮殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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