多面体
ためんたい
角柱や角錐(かくすい)のように有限個の多角形で囲まれた立体で、その内部が球の内部と同じようなつながりぐあいになっているものを多面体という。その表面は球面と同じようなつながりぐあいをしている。多面体で、その内部の2点を結ぶ線分がつねにこの多面体に属するとき、この多面体を凸多面体という。凸多面体は、各面を含む平面を境とする半空間の共通部分になっている。多面体を囲む多角形、その辺、頂点を、それぞれ、多面体の面、辺、頂点といい、面の数がnの多面体をn面体という。四面体は三角錐と同じであるが、五面体には四角錐のほかに、三角柱や、三角錐を一つの平面で切ってできるものがある。
[栗田 稔]
多面体で、頂点の数がv、辺の数がe、面の数がfのとき、つねにv-e+f=2である。これをオイラーの定理という。有限個の多角形で囲まれた立体で、内部が円環体のようにくりぬかれたものについては、v-e+f=0である。
一般に有限個の多角形で囲まれた立体ではv-e+fはその立体の内部のつながりぐあいによって決まる数で、これをオイラーの標数という。
[栗田 稔]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
多面体
ためんたい
polyhedron
平面多角形によってかぎられた,空間の閉じた部分,すなわち平面で囲まれた立体をいう。立方体,直方体,四面体,角柱,角錐,角錐台などはその例である。各 2面の交線を多面体の辺,いくつかの辺の交点をその頂点という。特にどの面を延長しても,その平面が多面体の内部を切ることがなければ,その多面体を凸多面体という。凸多面体については,オイラーの定理が成り立つ。すなわち頂点の数を v ,辺の数を e ,面の数を f とすれば v+f-e=2である。また面角の数を a とすれば,a=2e ,a≧3f ,v≦2e/3 ,f≦2e/3 ,f≦2v-4などの関係が得られる。これらの関係によって,凸な正多面体が,正四面体,正六面体,正八面体,正十二面体,正二十面体の 5種類にかぎられることが証明される。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
多面体【ためんたい】
有限個の平面多角形で囲まれた立体。各多角形を多面体の面,二つの面に共通な多角形の辺を多面体の辺または稜,多角形の各頂点を多面体の頂点という。面の数がnのものをn面体という。全体が各面をふくむ平面の片側に位置しているとき,この多面体を凸多面体といい,その面,辺,頂点の数の間にオイラーの定理が成り立つ。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
ためん‐たい【多面体】
〘名〙 四つ以上の平面多角形で囲まれた
立体図形。凹部のあるものを凹多面体、そうでないものを凸多面体という。〔工学字彙(1886)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「多面体」の意味・読み・例文・類語
ためん‐たい【多面体】
四つ以上の平面で囲まれた立体図形。立方体・直方体・四面体など。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ためんたい【多面体 polyhedron】
空間内に有限個の多角形があって,各多角形の辺は必ずただ一つの他の多角形の辺となっているとき,これらの多角形の作る図形を多面体という(図1)。多面体を構成する各多角形を多面体の面といい,これらの多角形の頂点,辺をそれぞれ多面体の頂点,辺(または稜)という。面の個数がn(≧4)である多面体をn面体という。多面体によって分けられる空間の二つの部分のうち,有限の広がりをもつほうを多面体の内部という。多面体とその内部とを合わせた図形もまた多面体と呼ばれ,この場合,初めの多面体は多面体の表面と呼ばれる。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
世界大百科事典内の多面体の言及
【位相幾何学】より
…analysis situsという言葉は,20世紀初期まで長く通用していたが,今日この言葉は用いられない。
[位相不変量――オイラー標数]
正多面体は5種類あり,すべて互いに同相である。どの正多面体についても,その頂点の数をa,辺の数をb,面の数をcとすると,a-b+c=2が成り立つ。…
【オイラーの多面体定理】より
…表面がいくつかの多角形の面からなっている立体を多面体という。とくに,多面体の面を含む平面がこの面以外では多面体と交わらないようなものを凸多面体という。…
【複体】より
…ここに単体の辺とはその単体の一部の頂点を頂点とする単体のことである。なお,複体に属するすべての単体をユークリッド空間の部分集合としてみて,それらの和集合をつくったときに得られる図形を多面体という。単体【中岡 稔】。…
※「多面体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報