改訂新版 世界大百科事典 「グレース商会」の意味・わかりやすい解説
グレース商会 (グレースしょうかい)
Casa Grace
ペルーを活動拠点とする米国系コングロマリット(複合企業)。1850年アイルランドから移民としてペルーに渡ったグレースW.R.Grace(1832-1904)が1876年に創業。グアノ関連の商業によって巨富を得たグレースは1865年にニューヨークへ渡り,69年に米国~南アメリカ間の汽船航路を開いて対ペルー貿易・運輸を独占した。82年の糖業投資は,ペルーにおける最初の米国直接投資である。20世紀に入り,金融・航空・繊維・化学・食品加工業に進出するなど活動を多様化し,ペルー経済を牛耳った。1968年の農地改革により,糖業部門は接収され,石油化学を中心とする工業にその活動中心を移している。
執筆者:辻 豊治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報