グアノ(読み)ぐあの(英語表記)guano

翻訳|guano

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グアノ」の意味・わかりやすい解説

グアノ
ぐあの
guano

海中や海岸の島に生息する海鳥の排泄(はいせつ)物の堆積(たいせき)固化によって生成された物質の総称。洞窟(どうくつ)に生息するコウモリの排泄物や死体から生成されることもあり、バットグアノと称して区別されることもある。どちらもカルシウム、ナトリウム、カリウムマグネシウム、アンモニア基などの含水リン酸塩鉱物を主とした集合で、石灰質の岩石からなる地質の場合によく発達する。岩石の岩質によっては、上記成分以外にアルミニウムや鉄が加わることもある。構成鉱物の多くは弱酸に可溶で、水にも少量は溶解するため、リン酸肥料として用いられる。グアノの産地としては、ペルー南アフリカ共和国などが有名であり、バットグアノの例としては、西オーストラリアのものが詳しく研究されている。グアノの語源は、インカのケチュア人のことばで肥料となる糞(ふん)を意味するクアヌkuanuに由来するとされる。

[加藤 昭]

肥料

(1)窒素質グアノ、(2)リン酸質グアノ、(3)バットグアノの3種類がある。

(1)は降雨量の少ない乾燥地でできたもので、古くからペルー・グアノの名で親しまれてきた有機質肥料である。これはもっとも古い販売肥料として有名で、19世紀前半には盛んに採掘、輸出された。窒素質グアノは普通肥料として規格化されており、窒素13~16%、リン酸8~11%、カリ1.6~2.5%を含み、施用にあたっては土壌と混和させる。

(2)は降雨量の多い、母岩が炭酸石灰である南洋方面の高温地帯でできたもの。窒素は大部分雨で流出し、リン酸分だけが母岩の炭酸石灰に作用して、難溶性のリン酸三石灰として沈殿堆積する。リン酸を多く含むが、品質が多様でその価値が主成分の含有量のみに依存しない特殊肥料に指定されている。

(3)はコウモリの排泄物やその死体が堆積したもので、これもリン酸を多く含み、特殊肥料に指定されている。

[小山雄生]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グアノ」の意味・わかりやすい解説

グアノ
guano

海鳥類,コウモリ類,アザラシ類の糞の堆積物で上質の有機肥料となるもの。鳥類のグアノの主産地は,ウ,ペリカン,カツオドリが多くすみ,雨量の少いペルー沿岸および西南アフリカ沿岸の島嶼である。コウモリのグアノは世界各地の洞窟から出る。アザラシ類のグアノは,ペルーの北西沖合いのロボスデティエラ島やロボスデアフエラ諸島にかなり厚く堆積している。鳥類のグアノはおよそ 11~16%の窒素化合物,8~12%のリン酸塩,2~3%のカリウムを含むが,他のものはこれより肥料としての価値は劣る。語源は海鳥糞を意味するペルー語 kuanu,またはスペイン語 hanmuから転訛したもの。

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