ケルスス禿瘡(読み)ケルススとくそう(英語表記)Kerion celsi

六訂版 家庭医学大全科 「ケルスス禿瘡」の解説

ケルスス禿瘡
ケルススとくそう
Kerion celsi
(皮膚の病気)

どんな病気か

 毛に侵入した白癬(はくせんきん)のため皮膚の炎症が強くなった状態で、頻度はまれです。

原因は何か

 頭部白癬が誤診されて、ステロイド薬を使用し、悪化してケルスス禿瘡になることが最も多くみられます。

症状の現れ方

 頭部に複数の膿疱(のうほう)が集まり、全体として腫瘤(しゅりゅう)状に盛り上がるようになります。濃汁が付着し、発赤腫脹(ほっせきしゅちょう)して髪の毛の多くは抜けています。

検査と診断

 頭部白癬と同じく、KOH溶液やズームブルーを用いた毛の直接鏡検顕微鏡での検査)で行います。皮膚の一部をとって調べる生検をして病理組織学的に診断することもあります。白癬菌を使ってつくった抗原の皮内反応(トリコフィチン反応)も参考になります。

治療の方法

 外用薬では治りません。内服薬を用います。2~3カ月の内服が必要です(白癬)。

病気に気づいたらどうする

 ケルスス禿瘡になると、治ったあとも脱毛が残ることがあるので、早期治療が必要です。また、頭の皮膚病に安易にステロイド薬を使わないことも重要です。

加藤 卓朗

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「ケルスス禿瘡」の解説

けるすすとくそう【ケルスス禿瘡 Celsus' Kerion】

[どんな病気か]
 頭部に生じた「いわゆる深在性白癬(しんざいせいはくせん)」です。子どもに多く、頭部浅在性白癬(せんざいせいはくせん)に副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)薬を外用した結果おこる例が目立ちます。原因は、犬小胞子菌(いぬしょうほうしきん)の感染が約半数で、猩紅(しょうこう)色菌、毛瘡菌(もうそうきん)、石膏状小胞子菌(せっこうじょうしょうほうしきん)、疣状菌(ゆうじょうきん)などの感染によることもあります。
[症状]
 毛孔(もうこう)に膿疱(のうほう)、かさぶたが生じ、皮膚が赤く腫(は)れたり、膿(うみ)がたまってぶよぶよになります。毛が簡単に抜け、脱毛斑(だつもうはん)ができます。くびのリンパ節が腫れたり、発熱、倦怠感(けんたいかん)などの全身症状をともなうこともあります。
 抗白癬剤を2~3か月間内服すると治ります。脱毛もやがて回復します。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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