ゲルジアマガエル
Goeldi's frog
Fritziana goeldii
雌が卵を背負って保護するアマガエル科の1種。ブラジルに分布し,体長4~5cmの小型アマガエルで,四肢の各指には吸盤が発達し,形態的には他のアマガエル類と変わらない。体色は褐色系で眼の後方に黄白色のすじ模様が走る。雌の背面には皮膚が盛り上がった皿状の透明なひだがあり,その中に産んだ卵を20~26個ほどのせる。卵は淡黄色で卵黄に富み,直径4mmほどの大粒,胚の発生状態がゼリー膜を通して見える。雌は卵を背負ったままアナナス類など着生植物に隠れてすみ,卵の中で幼生の発育が進むと水たまりに入る。この時,幼生はすでに後肢を生じており,数日後に変態を終了する。本種のように親が卵または幼生を体に付着させて保護することは,つねに条件のよい環境に移動し,外敵からも守るという利点がある。
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内のゲルジアマガエルの言及
【アマガエル(雨蛙)】より
…アマガエル類には小さな水たまりでも産卵するものが多く,熱帯アメリカでは着生植物の葉に大粒のゼリー状卵塊を産むものや,葉の間にたまったわずかな水に産卵し,幼生は他のカエルの卵や幼生を餌とするものもある。また背中の育児袋で幼生を育てる体長3cmほどのフクロアマガエル類Gastrothecaや,卵を背負って守る[ゲルジアマガエル]Fritziana goeldii(体長5cm)もあり,水辺に泥の巣をつくって産卵するカジヤアマガエルHyla faber(体長10cm)もいる。近年,日本でも消化器系の診断薬として用いられる活性ペプチドは,オーストラリア産ホワイトアマガエルLitoria caerulea(体長10cm)の皮膚から抽出純化されたものである。…
【アマガエル(雨蛙)】より
…アマガエル類には小さな水たまりでも産卵するものが多く,熱帯アメリカでは着生植物の葉に大粒のゼリー状卵塊を産むものや,葉の間にたまったわずかな水に産卵し,幼生は他のカエルの卵や幼生を餌とするものもある。また背中の育児袋で幼生を育てる体長3cmほどのフクロアマガエル類Gastrothecaや,卵を背負って守る[ゲルジアマガエル]Fritziana goeldii(体長5cm)もあり,水辺に泥の巣をつくって産卵するカジヤアマガエルHyla faber(体長10cm)もいる。近年,日本でも消化器系の診断薬として用いられる活性ペプチドは,オーストラリア産ホワイトアマガエルLitoria caerulea(体長10cm)の皮膚から抽出純化されたものである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」