卵黄(読み)ランオウ

デジタル大辞泉 「卵黄」の意味・読み・例文・類語

らん‐おう〔‐ワウ〕【卵黄】

動物の卵の中に貯蔵されている栄養物質。たんぱく質脂質糖質無機塩類ビタミンなどを含み、はいの発育中に消費される。量や卵内での位置により、等黄卵端黄卵中黄卵などに分けられる。鳥類では球状をなし、黄身きみともいう。
[類語]鶏卵白身卵白黄身

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「卵黄」の意味・読み・例文・類語

らん‐おう‥ワウ【卵黄】

  1. 〘 名詞 〙 動物卵の細胞質内に顆粒物質として存在する貯蔵栄養物質の総称。卵黄の化学成分は種によって異なるが脂質とたんぱく質が主体で、脂質は燐脂質ステリンなど、たんぱく質は燐たんぱく質、リボたんぱく質などからできている。鳥類では球状を呈し、黄身(きみ)ともいう。
    1. [初出の実例]「此気の地球を環遶するは、猶卵白の卵黄を包裹するが如し」(出典:改正増補物理階梯(1876)〈片山淳吉〉中)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「卵黄」の意味・わかりやすい解説

卵黄
らんおう

動物の卵に特有な貯蔵物質で、卵が胚(はい)発生をする際の栄養源となる。多量に蓄積されると黄色を呈するのでこの名が与えられている。多くの場合卵黄は、卵黄顆粒(かりゅう)として細胞質内に散在するか、卵黄球として蓄積されるかのいずれかである。卵内に蓄積される卵黄の量やそのあり方は、動物の種によってさまざまである。卵黄の存在は卵の細胞質の運動の物理的障害となるので、卵黄の量やあり方は卵割(細胞分裂)や原腸陥入など卵全体の動的活動を規定している。一般には、卵黄を多くもつようになった細胞は将来、内胚葉(消化管)になる。卵黄は、卵巣内で卵を取り巻く濾胞(ろほう)細胞や、哺育(ほいく)細胞により供される材料からつくられる。この材料は、ホルモンの影響のもとに肝臓や脂肪体の細胞から、血液あるいは血リンパ液を通じて卵巣に運ばれたものである。その成分はリンタンパク質リン脂質のほか、複合脂質炭水化物無機質、ビタミンなどである。これらの成分をどのような割合で含むかは動物によって異なる。最近では、ある種の動物では卵黄に母体からの伝令RNAリボ核酸)あるいはリボゾームなどを含むことが知られている。

[竹内重夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「卵黄」の意味・わかりやすい解説

卵黄【らんおう】

(らん)の内に蓄積されている栄養分で,一般に顆粒(かりゅう)状。主成分は結晶性のタンパク質やリン脂質など。単なる栄養分ではなく,卵割において細胞質の分裂に対する抵抗として働くなど発生過程に積極的な役割を果たしていると考えられる。
→関連項目卵生

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「卵黄」の意味・わかりやすい解説

卵黄
らんおう
yolk; vitellus

動物の卵細胞が精子と受精したのち,卵割などを行なって成長していく場合,成長のときのエネルギー源になる物質。この卵黄の起源は,卵母細胞時代に細胞にくっついていた栄養細胞からくるといわれている。ニワトリの卵黄はおもに脂質とリン脂質とから成る。卵黄が細胞の中に入っている状態によって,卵割の様式が変っていく。哺乳類では卵黄がほとんどない。ウニなどでは卵黄は細胞質に一様に分布しているが,ニワトリなどでは局在している。また昆虫などでは細胞の中心の部分を占めている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「卵黄」の解説

卵黄

 卵の中心部にある黄色の球状のもの.胚盤がある.食品としての鶏卵の卵黄は脂肪やミネラルに富む.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の卵黄の言及

【鶏卵】より

…ニワトリの卵は卵殻,卵白および卵黄の三つの部分からなる。各部分の重量比は,卵殻8~11%,卵白56~61%,卵黄27~32%。…

※「卵黄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android