日本大百科全書(ニッポニカ) 「こきりこ踊」の意味・わかりやすい解説
こきりこ踊
こきりこおどり
こきりこは2本の短い竹棒の打楽器。これを両手にして打ち鳴らして歌ったり、もてあそんで踊る。文献では『看聞御記(かんもんぎょき)』永享(えいきょう)8年(1436)正月28日条に「次コキリコ詠小哥舞(こうたまい)」とあるのが古い。こきりこは中世には僧形の芸能者である放下(ほうか)の持ち物で、室町時代の小歌集『閑吟集(かんぎんしゅう)』にも「こきりこは放下に揉(も)まるる、こきりこのふたつの竹の、世々をかさねて、打ちおさめたるみ代かな」の歌がある。室町時代に流行した小歌踊にもこきりこが用いられたが、民俗芸能としては各地にこきりこ踊が現存する。とくに有名なのは富山県五箇山(ごかやま)のこきりこ踊で、歌詞に「こきりこの竹は七寸五分じゃ、長いは袖(そで)の金鉤(かなかい)じゃ」とある。新潟県柏崎(かしわざき)市の綾子舞(あやこまい)の一曲にも小切子(こきりこ)踊がある。
[渡辺伸夫]