日本大百科全書(ニッポニカ) 「コリガン・マグワイア」の意味・わかりやすい解説
コリガン・マグワイア
こりがんまぐわいあ
Mairead Corrigan-Maguire
(1944― )
北アイルランドの政治運動家。ベルファストに生まれた。1976年、ベルファストで逃走中のIRA(アイルランド共和軍)兵士がイギリス軍兵士に射殺された際、IRA兵士が乗っていた車が通行中の家族に突っ込んで、子供3人が死亡するという事件が起こった。その子供たちの叔母であったコリガン・マグワイアは、事故現場にいあわせたウィリアムズElizabeth Williams(通称ベティBetty。1943― )とともに、北アイルランド紛争解決を目ざす草の根運動組織「ピース・ピープル」を、カトリック、プロテスタントの双方を含み込む形で設立して、活発な平和活動を展開し、国際的な注目を集めた。1977年には、前年の追贈という形でウィリアムズとともにノーベル平和賞を受賞した。彼女たちの運動は具体的な成果をすぐに生むには至らず、しだいに先細りとなって、参加者も減少傾向をたどっていった。しかし、ウィリアムズがアメリカに移住したのに対し、コリガン・マグワイアはベルファストで活動を続けている。また、2003年のイラク戦争開戦時にはホワイトハウス近くで抗議活動を行った。2006年、ノーベル平和賞を受賞したほかの女性5人(ジョディ・ウィリアムズ、シリン・エバディ、ワンガリ・マータイ、リゴベルタ・メンチュ、ベティ・ウィリアムズ)とともに平和運動NGOの「ノーベル女性の会Nobel Women's Initiative」を設立。
[木畑洋一]