ササン・ガラス(その他表記)Sasanian glass

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ササン・ガラス」の意味・わかりやすい解説

ササン・ガラス
Sasanian glass

3~7世紀頃に栄えたササン朝ペルシアで作られたガラス容器。最大の特色は器の外壁全面にカット,押し型手法による円形文様が,凸文あるいは凹文で装飾されている点で,素地は緑,青色,薄い褐色で単色透明のものが多い。当時大量に作られて世界各地に伝播したらしく日本,朝鮮,中国,中央アジア,コーカサス,南ロシアなど広範な地域から出土している。日本の代表的遺品として正倉院蔵の白瑠璃 (るり) 碗,紺瑠璃坏,白瑠璃高杯,および安閑天皇陵出土,東京国立博物館蔵の白瑠璃碗が有名。

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世界大百科事典(旧版)内のササン・ガラスの言及

【ガラス工芸】より


[イスラム・ガラス]
 ローマン・グラスの衰退とは対照的に,西アジアのササン朝では4世紀ころより王室工房を中心に,高水準のカット・グラス器や円文装飾のガラス製品が優れたデザイン管理のもとに大量生産され,広く国外に貿易されていった。このササン・ガラスと全盛を極めたローマン・グラスの双方の伝統をともに継承したのが,シリア海岸のガラス産地やダマスクス,アレクサンドリアなどを中心地とするイスラム・ガラスである。巨大な地域を勢力圏に収めたイスラム世界では,ガラス工芸が〈イスラムの華〉と称揚されていることからもうかがえるように,かつてなかったほど高度の発達を遂げた。…

※「ササン・ガラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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