サビーヌス(読み)さびーぬす(その他表記)Massurius Sabinus

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サビーヌス」の意味・わかりやすい解説

サビーヌス
さびーぬす
Massurius Sabinus

生没年不詳。1世紀ローマの法学者。生活が貧しく門弟に養われた。50歳にしてようやく騎士身分となり、ティベリウス帝から解答権を与えられたが、終生官職にはつかなかった。市民法を体系的に注解した『市民法論三巻』Libri tres iuris civilisを著したが、この書物は、3世紀ごろまでの法学者たちによって「サビーヌス注解」Ad Sabinumという題目で、法解釈の基本的典拠とされた。彼は、ラベオーを継いで一派をなし、その後継者たち(カッシウス、ヤボレーヌス、ガイウスユリアヌスなど)とともにサビーヌス学派Sabinianiとよばれ、カピトーを祖とするプロクルス学派Proclianiに対抗し、精緻(せいち)な理論を展開した。この両派の論争は、のちハドリアヌス帝により法学者が高官に迎えられるようになると、自然に消滅した。興味ある論争はユスティニアヌス帝の『学説彙纂(いさん)』に収録されている。

[佐藤篤士]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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