2世紀のローマの法学者。東部属州に生まれ,または活動した法学者といわれることがあるが,その生没年,経歴は不詳。古典期(アウグストゥス以降の元首政時代)の法学者には一度も言及されていないが,後古典期においては,引用法において5名の権威あるローマ法学者のうちに数えられるなど,重要な法学者と認められていた。著作としては,〈学説彙纂〉に収録されて伝わる《属州告示注解》32巻,《十二表法注解》6巻などのほか,ローマの法学著作の中では珍しく体系的説明を試みる《法学提要》4巻が,古典期に近い時代に書かれた写本により今日に直接伝えられ,古典期およびそれ以前のローマ法について貴重な資料を提供する。
執筆者:西村 重雄
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生没年不詳。2世紀ごろの古代ローマの法学者。生涯のみならずフルネームも不詳。正しくはガーユス。「ガイウス」は、ローマ人の三つの名前のうち個人名にあたると考えられている。属州出身者と思われる。同時代の他の法学者と異なり、官職にもつかず、皇帝の諮問に答える解答権ius respondendiももたない純粋の学究だった。彼の主著である『法学提要』Institutiones(160ころ)は、4、5世紀に東部の法律学校の1年生用のテキストに用いられたものと思われ、ユスティニアヌスの『法学提要』の基礎ともなった。法律を、人personaeの法、物resの法、訴訟actionesの法に分けた分類、物を有体物と無体物に分けた分類など、後世に影響を与えた理論が多い。
[弓削 達]
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…一般には法学入門書を意味し,ローマ古典期法学者の何人かの著作があるが,その中で,私法を人,物,訴訟に区分しその順序で理解しやすく叙述したガイウスの《法学提要》4巻がとりわけ重要である。ユスティニアヌス1世は法典編纂に際し,ガイウスのそれをもとに,その後の法の変更を併せ考慮した《法学提要》4巻をテオフィルスおよびドロテウスに作成させ,533年学説彙纂と同時にこれに法的効力を付した。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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