日本大百科全書(ニッポニカ) 「サラサゴンベ」の意味・わかりやすい解説
サラサゴンベ
さらさごんべ / 更紗権兵衛
Dwarf hawkfish
[学] Cirrhitichthys falco
硬骨魚綱スズキ目ゴンベ科に属する海水魚。静岡県以南の太平洋、小笠原(おがさわら)諸島、西太平洋、モルジブ諸島、ハワイ諸島に分布する。体側に瞳孔大の赤色斑紋(はんもん)がおよそ7本の横帯状に並び、後方ほど間隔が狭い。前の2帯は背側面で幅が広く、背びれに侵入する。目の下から腹方へ3本の赤色線が出る。背びれ軟条は12本で、側線鱗(りん)数は42~43枚ある。背びれ各棘(きょく)の先端から数本の長い皮弁が出る。胸びれは14軟条で、下部の6軟条は不分枝で、肥厚する。背びれと尾びれに多数の赤色斑紋があるが、それ以外のひれは淡色。全長12センチメートルほどになる。水深40メートル以浅のサンゴ礁や岩礁にすみ、サンゴの群体の上にいることが多い。ハーレムをつくり、夜に産卵する。よく似たヒメゴンベCirrhitichthys oxycephalusは眼下の3帯が点状で、体側の斑紋は石垣状で、横列状でない。
[尼岡邦夫]