化学辞典 第2版 「シアナート法」の解説
シアナート法
シアナートホウ
cyanate method
タンパク質の末端アミノ酸構造の分析法の一つ.エドマン法(フェニルイソチオシアナート法,PTC法)やジニトロフェニル法(DNP法)と並んで用いられる.タンパク質の末端アミノ基は,水溶液中でシアン酸カリウムにより完全にカルバモイル化される.これに酸をはたらかせると,定量的にヒダントインが遊離する.ヒダントインは,酸または塩基によりアミノ酸に加水分解されるが,このアミノ酸を分析することにより,もとの末端構造を同定,定量することができる.
反応はすべて水溶液中で行うことができ,また正確に定量できる利点をもっている.また,DNP法と異なり,プロリン残基の同定や定量も容易に行える.しかし,エドマン法のように減成を行って段階的にアミノ酸の配列を決めることはできない.また,セリンやトレオニン残基の場合は,加水分解中に一部分解して誤った末端基を与えることがある.ヒダントインを加水分解しないで直接分析する方法が開発されており,これによれば分解の心配がなく分析できる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報