日本大百科全書(ニッポニカ) 「シェールバルト」の意味・わかりやすい解説
シェールバルト
しぇーるばると
Paul Scheerbart
(1863―1915)
ドイツの作家、ジャーナリスト。世紀転換期のベルリンにあって、形式にとらわれない空想や思い付き、グロテスクな諧謔(かいぎゃく)に満ちた小説、評論、軍国主義批判のパンフレットを書いた。自ら「ドイツ空想家出版社」を設立し、表現主義的な雑誌『シュトゥルム(嵐(あらし))』の同人にもなった。作品に、180歳のほら吹き男爵が1905年のベルリンに現れる奇想天外な小説『ミュンヒハウゼンとクラリッサ』(1906)、カバレット(ドイツ風キャバレー)で朗読された詩『牡猫(おすねこ)の詩』(1909)のほか、『レザベンディオ――小遊星物語』(1913)のような多くの空想宇宙小説などがある。
[谷川道子]