日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シカゴ・サニタリ・シップ運河
しかごさにたりしっぷうんが
Chicago Sanitary Ship Canal
アメリカ合衆国の艀(はしけ)用内陸水路。ミシガン湖とミシシッピ川水系を結ぶイリノイ水路の一部である。シカゴ都心部でミシガン湖の水を取り入れ、同市南西部のジョリエットでデス・プレーンズ川に結ばれる。延長約45キロメートル。もともとは、シカゴ市の上水道源となるミシガン湖の汚染を防ぐため、市街から排出される下水を汚水処理したうえ、デス・プレーンズ川を通じてミシシッピ川水系に流す目的で、1900年に完成した。当時はシカゴ排水運河と称された。1930年に連邦政府の管理に移されて改修され、並行していたイリノイ・ミシガン運河と統合されて艀の航行が可能となり、1933年に現在の名称に改められた。サニタリは「衛生」の意で下水浄化水の排水機能をもつことを、シップは船の航行ができることを意味している。しかし、1958年、中間で分岐してシカゴ南郊を通過し、カルメット港でミシガン湖に達して、ミシシッピ川系水路と共通の水深(2.7メートル)をもつカルメット・サグ水路が開通し、艀交通の主力はこれに移っている。
[青木栄一]