改訂新版 世界大百科事典 「シムコ」の意味・わかりやすい解説
シムコ
Shimko
生没年:?-1929
イランのクルド族の指導者。ウルミエ湖の西の山岳地帯に遊牧するクルドの一支族シャカク族の出身。19世紀後半,平原部に定住するクルド系の農民クルマンジー,シーア派を信奉するアゼリー,ネストリウス派のアッシリア人を支配下にいれて西アゼルバイジャン州に一大勢力を築いた。イラン立憲革命に際してはカージャール朝側にまわった。第1次大戦が起きると,ウィルソンの14ヵ条に盛りこまれたクルド国家構想にひかれてナショナリストに転じた。1919年5月,世界大戦後の無政府状態に乗じてクルド反乱を起こした。21年半ばの最盛期にはウルミエ湖の西部,南部,イラク領内の一部のクルド地域をも支配下にいれた。しかし,反乱自体はトルコ,イラクの同族との連携がなく,22年8月,レザー・ハーン(のちのレザー・シャー・パフラビー)の軍隊によって鎮圧された。亡命生活の後,24年帰国を許され,26年再び反乱を起こし,29年暗殺された。
執筆者:坂本 勉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報